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julien d,ys ②


もうあれは6,7年前だろうか、、寒い一月にパリに一人旅へ行った時のこと。

古い町並み、アパルトマンが今も残るマレ地区へ行き、ピカソ美術館も堪能し
小雨も降りだして、さてどうしようかと迷いつつ、ぶらぶら歩きながら思い切ってマレ
にある忘れもしないブラック通りにあるジュリアンのアトリエにアポ無しで
訪ねてみた。


ピカソの作品を見て少し興奮してたせいもある。
建物は古いおおきな門扉。   すると偶然、配達か郵便の人が中に入り
門扉が開いたその隙に!ぼくの体が勝手に中へすべり込んだのである。
なかに入ると広いパティオがあり、その周りを重厚なアパルトマンが囲っていて
いかにもパリらしい。

部屋の号数までは知らなく、とりあえずエレベーターに乗った。
これが古いヨーロッパ映画にでてきそうな黒い装飾で格子のドア。

上がる途中180センチ! はあろうか、、フレンチヴォーグから
抜け出てきたようなアヴァンギャルドなショートヘアが、やたらサマになる女性が
入ってきた。  シベリアンハスキーのような目で微笑みかけてくるが
ワタシにそんな余裕などあるわけが無い 。

ぼくは片言の単語を並べ「ジュリアンのアトリエはどこ?」と泣きそうな顔で聞くと
シベリアンハスキーは煙草を持った手で「ふふ、この上よ♡」と降りていった。 
またその去り方のカッコイイことっ!(そこはフランス人、余計な愛想など無い。)
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そして教えてくれたフロアで降り、左右ドアがある。 左のドアをよく見ると、、
小さく「julien dys」とある。大きーく深呼吸してブザーを鳴らす、、。ビッッビィィィィ-!!!(古っ!)

すると中から「OUI?」  でっ出てきた!!!
あの時のワタシはおもわず失禁してしまったような感じだった。
とにかく尊敬して止まないジュリアンが目の前にいるのだ。 一瞬、間があり
ぼくは持参したジュリアンのアートブックを見せ、怪しいものではナーイ!と
ジェスチャーを交え、伝えるとなんと!ジュリアンは快く、笑顔で中へどうぞと。

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さすが世界のトップだ。自分の才能に自惚れや、傲慢さのかけらもない。
ジュリアンはボーダーのヨレヨレのバスクシャツにジーンズ、くしゃくしゃの髪、
腕にはいくつもお守りのようなアクセサリー。 中へと手招いてくれた。

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ぼくは初めて貰われてきた子犬のようにオドオドあたりを見渡してみた。
部屋は廊下があり、前シーズンのギャルソンのヘアもあり、よく美容師が使う首からうえの
マネキンではなく、どう見ても年季の入ったアンティークのマネキンで上半身から上のリアルなものが
数体あった。

ほのかに香るアロマキャンドルが焚かれ、ヴァイオリン?チェロの心地いい
クラッシックが流れている。床には「たった今描いてたんだ!」とスケッチが何枚も
散らばり、壁にもイーゼルにもジュリアンの絵がたくさんあるのだ。(ヘアに関するものは
マネキンだけ) ぼくは0歳並のフランス語、英単語で日本で美容師をしてることを懸命に伝えた。

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ジュリアンは優しかった。「oui! oh! oui!」と赤子に話すように相槌し、自ら握手してくれた。
そしてやはり間が持たなくなってきたが笑 さらに食い下がり持参したポラロイドカメラで
厚かましく、1枚撮らせてもらった。
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そして名残惜しい気持ちでアトリエをあとにし、
またパリの暗い寒空のなかカフェに立寄り、先ほどの出来事に思いふけった。

そのカフェはモナリザのモチーフだらけの店でその雰囲気と出来事が混ざり合いちょっと
サイケデリックで妙な感覚に襲われた、忘れられない一日でありました。

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そして数年後、ある美容メーカー主催でジュリアンが東京に来日し幸運にも行かせて頂き、再会。
ヘアショー、パーティーも出席できて感無量。


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またスカラでもジュリアンのブックをひとつのアート、ジュリアンへのオマージュとして
飾ってあるので、ぜひ見てみてくださいね。     
                                     


                                    akiyama

コメント (4)

inoue:

Y様いつもご愛顧ありがとうございます!!笑
てかっ お久しぶりだね!!
コメントありがとう。
ほんとお店でゆっくり会話でも出来たらいいのにな。。


betty:

岡山も暖かくなりましたか??
こちら大阪もとっても暖かくなって春らしくなってきましたっっ
ジュリアン・・・知りませんでしたが
すべてがおしゃれに見えちゃう方ですねっっ
さすが御フランス!!
最後のジュリアンさんのブックアート
とってもいい感じですっっ
お店は行ったこと無いですが
ほんとに心地いいんでしょうねーー

akiyama:

どうもー!
そうなんですよ、、あれは必然?偶然の重なりでした。
出会いに乾杯。
ぼくもまだ初めてのお客さんが多いので
日々出会いです。
あのハサミでね笑

k.harada:

こににちは☆
素敵な方ですね、読みながらドキドキしました。
高校のとき友達が「別れは必然だけど、出会いは偶然だからその偶然の出会いを大事にしていこう」と名言を言っていましたが、不法侵入?の出会いから二度目の出会いと日々関わることが無くても人との出会いには何かしら意味があるのかなとしみじみ感じてしまいました。
ショッピングの戦利品。。。粋な所に出てきましたね(笑)

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2008年03月06日 20:46に投稿されたエントリーのページです。

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